「ドイツに来た。で、私は何ができるんだろう?」
ドイツに来てしばらくすると、多くの日本人が一度は考えるのではないだろうか。
「さて、私はここで何をして働けばいいんだろう?」
日本では学校を出て、仕事をして、ある程度の経験を積んできた。
でもドイツに来ると、急に自分のキャリアがリセットされたような気持ちになる。
日本の大学を出ている。
日本で資格を持っている。
日本で仕事をしてきた。
でも、それがドイツでどのくらい通用するのかは分からない。
ドイツ語も完璧ではない。
求人を見ていると「Ausbildung」という言葉がやたらと出てくる。
そこで、ふと思う。
「もしかして、ドイツではもう一度Ausbildungからやり直さないといけないの?」
Ausbildungは「やり直し」なのか?
もちろん、Ausbildungはドイツで職業を身につける非常に重要なルート。
ドイツでこれから新しい職業を身につけたい人にとって、Ausbildungは有力な選択肢になる。
でも、日本から来た人全員がAusbildungをしなければならないわけではない。
ここを知らないと、
「ドイツで働きたい」
↓
「でも自分にはドイツの資格がない」
↓
「じゃあAusbildungをしなきゃ」
と、かなり早い段階で結論を出してしまう。
でも、その前に一度考えてみたい。
「自分が日本ですでに身につけたものは、本当にゼロなのか?」
「ゼロから」ではなく、「持ってきたもの」を確認する
日本で大学を卒業した。
専門学校に行った。
資格を取った。
会社で何年も働いた。
現場経験がある。
こうしたものは、ドイツに引っ越した瞬間に消えるわけではない。
問題は、
「それがドイツではどう評価されるのか、自分ではよく分からない」
ということだと思う。
そして、ここで出てくるのがAnerkennung。
Anerkennungは「ドイツで自分の過去を説明する」ための入口
Anerkennungをものすごく簡単に説明すると、
「外国で取得した学歴や職業資格について、ドイツではどう評価できるのかを確認する仕組み」だ。
ただし、ここで大切なのは、
「Anerkennungをすれば必ずドイツで同じ仕事ができる」
という話ではないこと。
また、すべての人に認定手続きが必要なわけでもない。
だからこそ、最初にやるべきことは、
申請書を書くことではなく、自分の場合はどうなのかを相談すること。
それがAnerkennungsberatungだ。
「あなたはAusbildungが必要です」と言われるのか?
ここは、Anerkennungsberatungを知らない人が一番気になるところかもしれない。
相談に行ったからといって、
「はい、あなたはAusbildungしてください」
と機械的に振り分けられるわけではない。
むしろ、
「あなたは日本で何を勉強しましたか?」
「日本のどの大学の、どんな学部を出ていますか?」
「どんな資格を持っていますか?」
「ドイツでは何をしたいですか?」
というところから、自分のこれまでを整理していく。
つまり、Anerkennungsberatungは、
「ドイツでゼロから何かを始めるための相談」ではなく、「自分がすでに持っているものをドイツでどう使えるのかを考えるための相談」
として捉えると分かりやすい。
日本人だからこそ、一度相談してみる価値がある
日本とドイツでは、教育制度も資格制度も違う。
だから、日本で普通に評価されていた学歴や資格、職歴を、ドイツではどう説明すればいいのか分からないことがある。
一方で、日本で身につけた学歴や資格、職業経験が、ドイツでも評価されるケースもある。
だから、
「私なんてドイツでは何もできない」
と自分で決めてしまわないこと。
もちろん「Ausbildung」という選択肢もある
ここはAusbildungを否定する記事ではない。
むしろ、これからドイツで生きていきたい人にとって、Ausbildungは非常に強い選択肢だと思う。
私自身、Ausbildungを経験した。
本当に大変だった。
でも、ドイツの職業教育を受け、ドイツで職歴を作り、資格を取る。
それによって得られたものはかなり大きかった。
だからこそ、
「Ausbildungをしない方法を探す」ことが目的なのではなく、
「自分にとってAusbildungが本当に必要なのかを知る」
ことが大切なのだと思う。
そもそも、Anerkennungsberatungってあまり知られていない?
私がこの存在を知ったのは、自身のAusbildungも終盤に差し掛かる頃だった。
きっかけは、友人との何気ない会話。
「私の友人がAnerkennungsberatungsstelleで働いているだけどさぁ~、…」
「ちょっと待って、なにそれ?」
そんな感じだ。
しかも、かなり予約が入っているらしい。
「そんな相談窓口があるんだ」
私はそのとき初めて知った。
そして思った。
「こんなに知られていないのに、必要としている人はたくさんいるんじゃないか?」
もしかすると、私が知らなかっただけで、同じように知らない日本人も多いのではないだろうか。
だから今回、改めてAnerkennungsberatungについて書いてみようと思った。
じゃあ、自分の地域ではどこにある?
Anerkennungsberatungsstelleは、ドイツ全国にあるが、残念ながらその数はあまり多くない。
などで探すより、まずは公式の Anerkennung in Deutschland の相談窓口検索を使うのがおすすめ。
自分の地域の相談先を探して、
「まず話を聞いてみる」
というところから始めてもいい。
ドイツに来て「自分には何もない」と思ったら
もし今、
「ドイツで何の仕事ができるか分からない」
「Ausbildungをするしかないのかな」
「日本の資格や職歴なんて、ドイツでは意味がないのでは?」
と思っているなら、
その結論を出すのはまだ早いかもしれない。
まずは、自分が日本から何を持ってきたのかを書き出してみる。
そして、それがドイツでどう評価される可能性があるのかを専門の相談窓口で聞いてみる。
ドイツでのキャリアは、必ずしも「ゼロからのスタート」ではない。
もしかしたら、自分が思っているよりも多くのものを、すでに日本から持ってきているのかもしれない。
次回は、『実際に相談に行ってみました。』
ここまで書いてきたが、実際にAnerkennungsberatungsstelleへ行くと、どんな感じなのか。
何を聞かれるのか。
何を持っていけばいいのか。
どんなアドバイスをもらえるのか。
そして、私自身はそこで何を知ることができたのか。
次回は、私が実際にAnerkennungsberatungを受けてみた体験談を書こうと思う。
「ちょっと気になるけど、いきなり相談に行くのは不安」という方にも、参考になればと思います。


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