ドイツに来たばかりの頃、よく外国人同士の話のなかで耳にした噂話がある。
『ドイツの職場に応募したら、国内労働力を考慮してまず最初に採用されるのはドイツ人、その次にEU出身の人、その後にその他の外国人らしい。』
あなたも心当たりがあるだろうか。
最近授業で習った労働法によると、これはどうやら法律で普通に禁止されているらしい。
ドイツには、AGG(Allgemeines Gleichbehandlungsgesetz)という法律で、6つの指標をもとに差別を禁止している。この法律は、個人の属性に関係なくすべての人々の平等な扱いを確保し、労働、教育、商品やサービスの利用など、さまざまな領域での差別を防止することを目的とする内容が定められている。
6つの指標
- 人種および民族的出身
- 宗教または信条
- 政治的信念
- 性別
- 障害
- 年齢
- 性的アイデンティティ
人種および民族的出身
肌の色、血統、国籍、または特定の民族グループへの所属に基づく区別は禁止されている。
例:外国人だから、肌の色などの理由で、応募が拒否されることは許されない。
宗教または信条
宗教とは、認められた教会または宗教団体への所属を指す。例えばキリスト教の教会、ユダヤ教、イスラム教、エホバの証人、モルモン教などが挙げられる。
例:特定の宗教に属することが理由で応募が拒否されることは許されない。
政治的信念
ここでは、右や左などの考え方や人類学や無神論なども含まれる。
例:特定の政党に属することが理由で応募が拒否されることは許されない。
性別
男性と女性の間の区別は禁止されている。また、これにはトランスジェンダーおよびインターセックスの人々も含まれる。
例:女性が結婚していることが明らかになったために、採用に不利になることは許されない。男性と女性が同等の能力を持ってるにもかかわらず、男性または女性が優先されることは許されない。
障害
AGGはすべての障害に適用される。(車椅子利用者、視覚または聴覚障害者などの身体的障害者だけでなく、知的または精神的障害者も)。
例:障害があることを理由に採用されないことは許されない。
年齢
若いから良い、年を取っているから不利ということは許されない。これは年長の従業員を差別することができないというだけでなく、若い従業員を年長の従業員に対して不利な立場に置くことも許されない。
例:他の点を考慮せず、年齢だけで採用不利になることは許されない。
性的アイデンティティ
従業員が異性愛者、同性愛者、両性愛者などであるかどうかは、労働法上の決定において考慮すべきではない。
例:応募者がLGBTQ+コミュニティに関連するイベントに参加していることが発覚し、その行動が採用の決定に影響を与えることは許されない。
確認問題
この応募文章の中で、おかしい点が7つあります。どこで、理由は何でしょう?
回答
- Eine Erzieherin →女性の保育士という表記から、性別での差別を読み取れる。
- deutsche Erzieherin →ドイツ人の女性保育士という表記から、はっきりとした人種・性別差別が読み取れる。
- zwischen 30 und 40 Jahren →年齢を30から40歳までと限定していることから、年齢での差別が読み取れる。
- Mobil →動けるという意味合いになり、障害などで思うように動けない人を排除する意思が読み取れる。
- ansprechendes / gepflegtes Äußers →適した外見、清潔な外見とのことで、外見で人を判断するという差別が読み取れる。(ドイツ人の基準が謎だけど、日本人なら無条件で合格だろう‥)
- verheiratet →結婚していることが条件に入っているということで、これも差別。
- Lichtbild/ Foto →ドイツの一般常識として、履歴書に顔写真は載せなくても別にOKなので、条件として入っていることは、見た目が判断材料になるという意味。
あと個人的にはNichtraucherin(非喫煙者)というのが条件に入っている点もおかしいと感じる。
差別ー私たち外国人労働者にとってはかなり重要な項目
理想の実習先、職場の条件はたくさんある。
差別がないというのは、基本中の基本であり、とても大事なことだ。
さっきの例のような応募内容はとても大げさな例だが、そんな所は時代遅れも甚だしく、頭の凝り固まった気難しい人しか働いていないだろう。
応募文章の中にも、その実習先の雰囲気などが一部現れているので、注意してよく読み、無駄な応募は避けたい。
#ドイツ #労働法 #Ausbildung #実習先 #応募 #注意 #差別 #法律 #外国人 #アイデンティティ #障害 #性別 #大切 #人種 #年齢
コメント