【元現役生が語る】ドイツで保育士になる方法|PIA-Ausbildungの学校生活ガイド

Ausbildung

ドイツで保育士(Erzieher/in)を目指すなら、Ausbildung(職業訓練)が必要不可欠。

この記事では、なかでも人気のあるPIA-Ausbildung(Praxisintegrierte Ausbildung)について、元現役のPIA-Ausbildung生である私(カピバラ)が実体験を交えて詳しく解説します!

 

PIA-Ausbildungとは?

働きながら学び、給与も得られる実践型の保育士養成プログラム(3年間)

PIA(Praxisintegrierte Ausbildung)は、理論と実習を並行して学べるドイツの保育士養成制度の一つ。授業と保育現場での実践を組み合わせることで、即戦力を育成する仕組みです。

 

形態は2パターン

  • Vollzeit(フルタイム):週40時間(授業+実習+課題含む)×3年
  • Teilzeit(パートタイム):週20時間(授業+実習+課題含む)×4年

 

Teilzeitは、家庭と両立したい人や体力的に不安な人から人気!

必要なドイツ語レベルは?

 

専門用語・レポート・プレゼンが多く、特に筆記試験は完全記述式のため「読み書き力」がかなり重要!

学校で学ぶ科目

必修科目

  • Berufliches Handeln fundieren(専門知識・実践力)
  • Erziehung und Betreuung gestalten(保育・ケア)
  • Bildung und Entwicklung fördern(教育・発達支援・音楽・リズム・運動指導)
  • Unterschiedlichkeit und Vielfalt leben(多様性・包括性)
  • Zusammenarbeit gestalten(チームワーク・保護者との仕事)
  • Recht(法律)
  • 宗教教育(カトリック・プロテスタント・Ethik)
  • 科学実験

選択科目(学校により異なる)

  • Schulkindbetreuung (学童保育)
  • U3 (Unter 3)
  • Musik
  • Sport

 

「Ethik」とは、宗教を問わない哲学・道徳の授業。

 

Fachhochschulreife(専門大学入学資格)も同時に取れる?

Realschule卒業の人は、Ausbildungと同時進行で追加授業を受け、試験を受かればその先に進学できる資格を得ることが可能な学校もある!(私の学校がそうでした)

  • ドイツ語・英語・数学の追加授業あり(3年間)
  • 3年目に試験を受ける

 

将来的にFachhochschule(専門大学)へ進学したい人におすすめ!

 

成績のつき方

 

成績は「1」が最高、「6」が最低( 5 以下は不合格)

 

課題・テストのボリューム感は?

  • レポート:テーマに沿った観察記録や実習先での実体験まとめ
  • テスト:筆記試験が主だがたまにグループワークによる発表、レポートやプレゼンが代わることも。半年に15回(科目ごとに実施)
  • プレゼン発表:授業中の小さなグループワークによる発表を含めればほぼ毎週。その他成績に関わる大きなプレゼンは一年に数回程度

 

体感「毎週何かしらの科目で試験がある」

学校生活の雰囲気は?

  • クラス単位で授業(高校のような雰囲気)
  • 担任の先生がいる
  • クリスマスバザー・修学旅行・生徒会などもあり

 

クラスメイトの年齢層・国籍

  • 年齢層は10代後半~40代後半まで幅広い!
  • 老若男女、幅広い面子だが「保育士」という共通点があるのはポイント。
  • 留学生(非ドイツ語ネイティブ)もクラスに2~3人いることが多い!

 

私のクラスでは、ドイツ出身だけでなく、ジョージアからの生徒もいました。

必要なもの・支給されるもの

 

ドイツの教育制度は学生負担が少ないのが魅力。教材費もかかりません。

PIA-Ausbildung Vollzeit 学校の日のスケジュール(例)

【月曜日(授業日)】

08:00~14:00 授業

【火曜日(授業日)】

9:45~15:00 授業

【水曜日(授業日)】

9:45~16:20 授業

 

何らかの偶然で授業の休講が重なり丸一日空いた時は、PIA生徒は実習先で働く義務あり

実際の「大変だったこと」と「嬉しかったこと」

大変だったこと

  • 最初は専門用語が分からず授業についていくのに必死!
  • テストが完全記述式で、ドイツ語がまだ下手だった1年目は返却された答案用紙に先生からのコメント「何を言っているのか意味が解りません」
  • 挙手発言が苦手だったので、それも成績に入ることがとても苦痛だった
  • グループワーク・ペアワークはほぼ毎授業で行われる
  • 授業の進行スピードが早く、1週間休んだら浦島太郎状態

嬉しかったこと

  • やる気がある人が多いので、クラスの士気が高い。
  • 先生が日本人である私にとても理解を示してくれて、たくさん助けてくれた。
  • 良いクラスメイトを持ち、助け合いながらなんとか最後までやり遂げることができた。数々の困難を一緒に乗り越えた親友ができた。

 

どんなに小さな成長でも、ちゃんと認めてくれる環境があって、頑張り続けられました!

 

【まとめ】私が感じた、PIA-Ausbildungの学校生活とは

PIA-Ausbildungでの学校生活は、一言で言うと「実践と理論のバランスが取れた、あたたかくてハードな学びの場」でした。

週に3日は学校で座学、2日は保育現場で実習。
授業は高校みたいなクラス制だけど、周りは10代から40代の子どもから大人まで幅広い。同じ夢を持った仲間だから、年齢の壁も自然と感じなくなりました。

課題やレポート、試験、プレゼン……やることは本当に多くて、正直、毎日が全力でした。

教材費の負担も少なく、パソコンの貸出もあり、経済的にもありがたい環境。
学園祭や修学旅行といったイベントもあって、「もう一度学生生活を楽しめた」そんな特別な時間でした。

そして、何より心に残っているのは、卒業間近にクラスのみんなで言い合った言葉。

「今までの人生で一番頑張ったよね」

PIA-Ausbildungは、楽な道ではありません。
だからこそ、一緒に乗り越えた仲間たちとの絆は、本当に深いものになりました。
辛かった日々ですが、終わった今では、あの悔し涙も、笑った日々も、私の大きな宝物です。

「学びながら働く」リアルな現場で成長したい人、仲間と一緒に頑張りたい人には、心からおすすめしたい道です。

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