Jugendamt(青少年局)とは?
ドイツには**Jugendamt(ユーゲントアムト)**という機関がある。日本の「児童相談所」に近いけれど、もっと広い役割を持っていて、家庭のサポートや教育支援も含まれている。
つまり、ただ「子どもを保護する」だけじゃなく、「親子がより良い関係を築くために手助けする」ことも彼らの大切な仕事のひとつになる。
児童虐待/家族問題の悪化 を防ぐために必要なこと
児童虐待について耳にすると、「どうして親はちゃんと子どもを育てられないのか」と思う人もいるかもしれない。でも、子どもの世話を十分にできなかったり、時には手をあげてしまう親だって、好きでそうしているわけじゃない。
多くは、精一杯で余裕が無かったりする。手をあげる以外わからなくてやってしまう人もいる。また、自分自身も幼いころにそうやって育てられ、他に知らないということもある。まぁ、中には本当に育てる気のない親もいるが、割合としてはかなり少ない方だと思う。
たとえば、片親で仕事している場合、時間も気持ちの余裕もなくなってしまう。朝早くから働いて、夜遅くにクタクタで帰宅。それでも子どもの世話をしなくちゃいけない。そんな毎日を送っていたら、ストレスも溜まるし、子どもにしっかり向き合うのが難しくなることもある。
でも、そんな親にちょっとしたサポートがあるだけで、気持ちが楽になって、家庭がいい方向に回ることもある。ドイツには、そんな頑張る親御さんたちを支える制度がいくつもある。
家族を支えるJugendamtの役割
ドイツには、Familienhilfe(家族ヘルパー)やErziehungshilfe(教育ヘルパー)Erziehungsbeistand(養育ヘルパー)といった、家庭ごとに必要な支援を提供する制度がある。その他、ここにすべては書ききれないほどの、たくさんの支援が用意されている。
そして、そのすべての窓口になるのがJugendamt(青少年局)。
でも、「Jugendamt」と聞くだけで、自分の子どもが連れて行かれるんじゃないかと不安になる親や、拒否反応を示す親の多いこと。
実際スウェーデンやデンマークみたいに、早い段階で親子を引き離すケースがある国もある。そんなイメージが先行してしまったり、実際過去に嫌な経験をした人もいるだろう。だから、Jugendamtに対して悪いイメージを持っている人がいるのも無理はないのだけど…。
そのイメージが、第一の障害となって我々の前に立ちはだかる。
だけど、ドイツのJugendamtは、親と子どもを引き離すための機関じゃない。むしろ、親と子どもがもっといい関係を築けるようにサポートしてくれるところなのだ。
たとえば、フライブルクのJugendamtは、対応がすごく早くて、相談すれば本気で受け止めてくれ、一緒に解決策を考えてくれる。彼らはとても愛情深く、家庭がうまく回るように手を差し伸べてくれる。
でも実際、教育現場にいる私たちが感じているのは、親御さんたちの多くがすでにJugendamtに対していいイメージを持っておらず、言葉を聞くだけで拒否反応を示してしまうということだ。
そして、すべての窓口はJugendamt。私たちの最初で最後、唯一の砦。だからJugendamtとコンタクトを取りたがらない親とは、支援の道を探るのがとても難しくなる。
私たち保育士ができること
児童虐待を防ぐには、親が孤立しないことが大事。家庭の問題を親だけの責任にせず、社会全体で支えていく仕組みが必要。
私たち保育士ができることといえば、その支援があることを伝えること。入口となることだ。
支援が必要な親というのは、日々の生活で精一杯で、支援があること自体を知らないケースが多い。
また、Jugendamtについて正しい知識を持ってもらうこと。変に怖がって支援を受けることを拒否するのが一番最悪なケースなので、それを防ぐために何ができるか。
フライヤーを置くことから始めてもいい。どんな支援方法があるのか勉強してみるのもいい。
私たちのほんの少しの「気づき」「声をかける勇気」から、たくさんの人が救われるかもしれない。
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