某月某日、秋風が吹き始めた頃、友人の飼い猫は突然家から姿を消した。
キッチンの窓が半開き(ドイツでよくある、上半分だけ開けるやつ)になっていたので、そこから外に出て屋根を伝って脱出したと推測される。
友人は猫が出ていったであろう時間帯に、かすかに『ミャオ』を聞いたらしい。行ってくるよ、とでも言いたかったのだろうか。
子猫の頃に友人のもとにやってきて、2年くらい経つ。室内飼いで、片手で数えるほどしか外に出たことのない、箱入り猫だった。性格は、かなり人見知りで臆病。首輪も何もつけていなかった。
ブリティッシュロングヘア?という品種で、グレーの毛長のなかなかエレガントな奴だったので、もしかしたら誰かに既に拾われちゃってるかも、と思ったりした。
私は正直に言うと、見つかる確率は絶対的に低いと思っていた。でも、見つかった。もし今これを読んでいるあなたが猫を探しているのなら、元気を出してほしい。
結果からお伝えすると、その猫は約1ヵ月後に、友人の家の隣の庭で発見された。
今回は、友人が猫探しでしたことや、そのプロセスをお伝えしようと思う。
猫が消えたその日、友人はもう憔悴しきっていた。あんなに打ちひしがれている彼女を私は見たことが無かった。猫がいなくなったというのは、飼い主にとっては子どもがいなくなったと同じくらいに重いことなのだと理解した。
近隣住民に直接チラシを配った
彼女は早速張り紙をデザインし、近隣住民にはインターホンを鳴らして直接チラシを渡して事情を説明した。
3日後くらいから、近所の電信柱にチラシを貼り始め、数日ごとにチラシを貼る範囲を広げていった。だが、ここで問題発生。多くの電信柱や支柱には、張り紙をしてはいけないものがあるらしく、撤去されてしまったものもあった。
いたずら電話は1回だけかかってきた。あとは10件くらい、目撃情報の電話。あとは数回、動物愛護系の人たちからなのか、猫を室内で飼うなんて‥といった飼い主に対する文句のような電話があった。
目撃情報をもらえば、どこにいようと駆けつけた。けど、収穫はなかった。
お気に入りのエサを玄関横に仕掛けた
家の玄関に、猫お気に入りのエサを入れた寝床のようなものも用意しておいた。一度エサは食べられたような跡があったので、簡易監視カメラを仕掛けてみたけど、これといった収穫はなく、それ以降は誰も来なかったようだった。
監視カメラを夜中に仕掛けた
そして、その簡易監視カメラを猫が通りそうな草の生い茂る通りに設置したところ、プライバシーの侵害という理由で、誰かに没収された。カメラは地面を這って歩く猫だけが写るような画角だったけど、そういったことも気に食わない人がいるらしい。
没収されてしまったので、何が写っているかは不明のまま。

FR2
猫専門の探偵に相談した
半月ほど経った頃、友人は猫探しの探偵にコンタクトを取り、猫探しのアドバイスをもらっていた。その頃の友人の部屋はもう、探偵事務所のようだった。近所の地図が壁に貼られていて、チェック済みの通り、これからチェックする場所などが書き込まれている。
私も時間があれば猫探しに参加したし、自分なりに調べてみたりした。
結果、多くの人が『室内飼いだった猫が失踪した場合、高確率で家の近くにいる。』と言っていた。私も猫の性格や状況からして、その説が最も有力なのでは、と思ったのだが、その頃はいくら確認しても、猫が家の近くにいる様子はなかった。
懸賞金をかけた
猫を探している時間は、友人にとって永遠に感じられる長い時間だっただろう。半月以上経った頃、友人は懸賞金をかけた。張り紙を作り直して、『見つけてくれた方には、懸賞金500€』と大きく書いたのだ。
だんだんと秋も深まり、夜は冷えるようになってきた。エサはどうしているのだろう。
そして隣人が見つけた
そして、1ヵ月が経った頃、隣の家の人から電話がかかってきた。『あなたの猫に似たような猫がうちの庭にいるよ。』
飛んで行ったところ、本当に、目と鼻の先である隣人の庭の陰でそっと隠れていたのが見つかった。今までずっと外で過ごしてきたのだと一目で判るほどにドロドロに汚れていたそうだ。
友人はもちろん、電話をかけてくれた隣人にお礼の500€を支払った。
私が今回の猫探しを通して感じたこと
- 隣人には直接チラシを渡し、事情を説明したのは効果的だった。
- 張り紙を貼る範囲は、あまり極端に広げない方がいい。(色んな目撃情報が出てきて混乱するだけ)
- 猫は確かに、あまり遠くに行っていない感じだった。
- カメラを仕掛けるとかは、プライバシーの侵害と言われかねないので気を付ける
家の近所にいかに包囲網をしくか、それがポイントかなと思った。
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