今日はドイツ(バーデン・ビュルテンベルク州)でとうとう終業式。
秋の新学期からのいろいろな行方も、気になるところである。
ドイツの小学校には、日本と違って「留年制度」がある。
1年生の段階では強制ではないが、先生から留年をすすめられ、最終的には保護者が判断する。
2年生以降は、基本的に先生が決定する。
私の担任する1年生のクラスには、先生から留年をすすめられた子が3人いた。
そのうち、実際に留年が決まったのは1人だけ。
たいていの保護者は、わが子を留年させることに抵抗がある。
「留年したら、トラウマが人生に残ってしまうのでは…」
「また新しい環境になるのがかわいそう」
そんな理由が多い。
でも、長期的な目で見て子どものためを思って提案しているのになぁ…と、こちら側は思わずため息をついてしまう。
私たちがこれまで見てきて言えること。それは――
留年するなら、タイミングは早ければ早い方が良い ということ。
たとえば、1年生の終わりに「ついていけていないかも」と話題になったのに、「2年生で様子を見て、それでも無理なら留年させる」という保護者もいる。
でも、子どもからすれば、1年生の内容もついていけていないのに、さらに難易度もスピードも上がる2年生についていけるわけがないだろう。
それに、早めにクラスを移って、その新しいクラスで長く友情を育んだり、思い出を作った方が、きっと良い。
大きくなり感情が育って複雑になる前に済ませた方が、本人も楽だと思うのだ。
そういった理由からも、これは先延ばしにするのではなく、提案されたときに受け入れるのが最善策だと思う。

他人のことにそれほど興味を持たないドイツでも、留年となると一瞬話題にはなる。
でも、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはよく言ったもので、3日もすればすっかり落ち着き、また普通の日常に戻る。
もちろん、留年した本人は新しいクラスに慣れる必要があるので、最初は少し苦労するだろう。
でも、ドイツでは(というか私の職場では)1学年に1〜2人留年する子がいるのはごく普通のこと。
しかも、まったく知らないクラスに入るのではなく、もともと知っている子たちのいるクラスに移るので、案外すんなり馴染んでいる子も多い。
実際、私がこの6年間、うちの小学校で子どもたちを見てきた中で、留年した子はたくさんいる。
でも、「留年したこと」が原因で、不登校になったり問題を抱えたりした子は一人もいない。
むしろ、早めに新しい環境に適応して、そのクラスでの生活を楽しんでいる子がほとんどなのだ。
どうしてもネガティブな印象を持たれがちだが、
留年は「後ろに下がること」ではなく、「もう一度しっかりと土台を作り直すこと」。
「かわいそうなこと」ではなく、「将来のための準備期間」だ。
子どものための選択は、時に親としても苦しいものだろう。
けれど、成長のタイミングを見極めてあげられるのは、やっぱり周りの大人たちなんだと思うのである。
そして、「留年することがまったく悪いことではない。」そんな風に受け止められ、立ち止まる勇気が支えられる社会であってほしいものである。
ドイツの小学校の現場から、この話が、誰かの気持ちを少しでも軽くしたり、ヒントになったりしたら嬉しい。



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