実習先選びの際に、子どもの対象年齢で考えたり、その施設がどんなところに力を入れているか、そんな点がまず目につくし、大体の人がそこで決めると思う。
今回は、コンセプトという部分に焦点を当てて、自分の性格・適正をメインに考えた実習先選びの方法をご紹介したい。
実習先の選び方:オープンコンセプトとクローズドコンセプト
保育士を目指す人にとって、実習先の選び方はすごく大事だ。なかでも、「オープンコンセプト」と「クローズドコンセプト」という保育施設のスタイルは、働き方や学べることに大きく影響する。どっちのスタイルが自分に合うのかを知っておくと、実習も充実したものになりやすい。
クローズドコンセプトとは(ドイツ語:geschlossene Konzept)
クローズドコンセプトは、日々のスケジュールや流れがある程度固定された保育のスタイル。特に、乳児を預かるKrippeや、ルーティーンを大事にする幼稚園でよく取り入れられている。
毎日同じ流れで動く:基本的にタイムスケジュールが決まっていて、午前中は歌や手遊び、午後はお昼寝や外遊び、といった具合に進んでいく。毎日やることが同じだから、予測しやすく安定感がある。
クラスが固定:担当する子どもや一緒に働く保育士も決まっている。毎日同じメンバーと過ごすから、チームワークが取りやすい。
秩序が保たれる:活動が決まっている分、混乱が少ない。安全第一でしっかり管理するのに向いているスタイルだ。
このように、クローズドコンセプトは安心感があり、安定した環境で学べるのが特徴だ。ただし、変化が少ないために柔軟性があまり求められず、「ちょっと退屈かも…?」と感じる人もいるかもしれない。
毎日ひとつのグループで同じ子どもと接する分、子どもをよく知ることができ、包括的な保育ができる。狭く深く関わることで、子どもと深い信頼関係を築きやすい。
毎日狭い空間で同じ同僚と密に仕事をすることが求められる。もちろん、同僚と気が合えば特に問題はないが、合わないと正直かなりきつい。
オープンコンセプトとは(ドイツ語:offene Konzept)
一方のオープンコンセプトは、自由で柔軟な保育スタイルが特徴。現在はドイツで多くの幼稚園や学童で取り入れられているコンセプトで、子どもたちが自分の興味に合わせて活動できるようになっている。
活動の自由選択:絵を描きたい子はアートスペースに、体を動かしたい子は外遊びスペースに、というふうに自由に選べる。保育士は、それぞれの子どもに合わせてサポートする役割だ。
異年齢の交流:クラスの固定がないことも多く、異なる年齢の子どもたちが自然に交流できる。小さな子どもでも大きな子から学べる機会が増える。
スケジュールが柔軟:日によって活動内容が変わることが多く、好奇心や創造性が伸ばしやすい環境。ただし、その分保育士には柔軟な対応力が求められる。
オープンコンセプトは、子どもが自発的に動く場面が多く、自然な学びのチャンスも多い。けれど自由が多い分、予想がつかないことも多く、対応する保育士にはスキル、同僚間の密なコミュニケーションやフレキシブルな対応力が必要になる。
毎日違う子どもと接するため深い信頼関係は築きにくいが、たくさんの子どもと知り合える。また、一緒に働く同僚も毎回変わるので、苦手な人がいても大きな問題にはなりにくい。
ハーフオープンコンセプト(ドイツ語:halboffene Konzept)という中間のものも
ハーフオープンコンセプトは、オープンとクローズドの両方の要素を組み合わせた、柔軟でありながらも一定のルーティーンを含む保育スタイル。このスタイルでは、子どもたちは基本的には決まったグループに所属し、特定の保育士と信頼関係を築きながらも、活動内容によっては他のグループと交流したり、複数の活動スペースを行き来したりすることができる。
保育士にとってこのコンセプトは、子どもたちの個別のニーズに応じた保育をしやすい環境を提供しつつ、決まったグループ内での、子どもたちが安心して過ごせる安定した時間も確保できる。またその時間に子どもと信頼関係を築くことができる点もメリットだ。
ちなみに私の働く学童は、このハーフオープンコンセプトを取り入れている。
実習先を選ぶポイント
どちらのコンセプトにもメリットとデメリットがあるから、自分に合った実習先を選ぶのが大事である。
自分の保育スタイル・性格・仕事スタイルに合っているか
クローズドコンセプトは、安定した環境でじっくり学びたい人向け。日々のルーティンをこなすことが好き、事務仕事のような働き方が好きな人向き、予測不能なことが起こることを好まない方向けだ。一方、オープンコンセプトは柔軟に対応する力を磨きたい人、広く浅くたくさんの子どもと関係を築きたい人に向いている。
実習で学びたいスキル
クローズドコンセプトでは基本的な流れやチームワークが学べるが、オープンコンセプトは想像力・対応力・コミュニケーション能力が必要なシーンが多く、子どもと一緒に新しいことを試してみたい人にぴったりだ。
実習の目的やゴール
規律や安全管理をしっかり学びたいならクローズドコンセプト、自主性や好奇心を引き出す保育に興味があるならオープンコンセプトが合っているだろう。
まとめ
オープンコンセプトとクローズドコンセプト、それぞれの特徴を理解して、自分の目標だけでなく、自分の性格や適性に合った実習先を見つけよう。
仕事をするのは自分。自分が心地いいと感じる場所で働くことが一番だと私は思う。
しっかり考えて選ぶことで、貴重な経験を積むことができ、将来のキャリアにも大きく役立つはずだ。
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