『Jugendamt』は学童の仕事における頻出単語のひとつである。
Jugendamtは日本の児童相談所と似たような機能をもつ省庁で、子どもの保護・福祉や家庭支援を担当する。
今日は学童がない日で、だからといって仕事が休みだったわけではなく、私たち学童保育士はJugendamtの人たちによるFortbildungを受けた。
テーマは「Kindeswohlgefährdung (KWG)」
直訳すると「児童虐待の危機」、要するに児童虐待全般についての研修だった。
私たち学童保育士は、子どもから何らかのサインを受け取ると、すぐに上司に報告し、適切な処置をすることが義務付けられている。
児童虐待について、ドイツの統計や法律、子どもからのサインはどんなものがあるか、サインを受け取った時の行動、通報プロセス、Jugendamtの措置などなど、多岐にわたって山ほどの例を用いて説明を受けた。
ちなみにこのKWGについて、保育士のAusbildungでは深くは学ばない(!!!)が、ソーシャルワーカーは大学で4ゼメスターという長い時間をかけて学ぶそうだ。
だからソーシャルワーカーのStudiumをした大勢の同僚たちにとってはそれほど新鮮なテーマではないのだが、私やその他数人の保育士のAusbildungをした同僚にとっては新鮮でしかない。
同時に仕事に直結しているめちゃくちゃ大事なことなので、こんなに重要なことならもっと早く学ぶべきなのでは?と疑問に思った。
6時間という長い時間のプレゼンテーションに、内容はかなり壮絶。
法律や専門用語も多く、途中で回ってきた児童虐待の写真付きの専門書なんかは正直目も当てられなかった。久しぶりに「ちょっとしんどいな」と感じるほど濃い内容だった。
プレゼンしてくれたJugendamtの人たちの仕事はものすごいハードだろう。
毎日こんな問題が次から次へと集まる場所で、ひっきりなしにこんな問題に立ち向かっているのだ。信じられない。どんなモチベーションでこんなハードな仕事ができるのだろう。
私は子どもと接する仕事で子どもの成長を見守れたり、元気をもらったりする。でも彼らのところには、「問題」しかない。
休憩中、気分転換に同僚と外の空気を吸いに行った。
「俺無理だわ。つい感情的になって、つい娘のことが頭にチラついて耐えられない。」
性虐待のことについてもかなりたくさん学んだ。子持ちの同僚はまた違った感情との葛藤があるのは当然だ。
ふと、私が日本にいた頃に大好きだったドラマを思い出した。
「家族狩り」である。
大好きというか、自分の人生で一番ショック・感銘・衝撃を受けたドラマだ。
一番好きなドラマはとを聞かれると、かならずこれを挙げている。
松雪泰子さん演じる氷崎は自動心理士で、彼女の周りに起こる児童虐待やDVなどの家族問題を描くサスペンスドラマ。
氷崎は昔、自分が担当していた家族が一家心中し、それが心の傷になっている。
私は仕事をしながら「なにか見逃していないか」と、時々どうしようもない不安にかられることがある。
子どもの安全を守るという点では、私たち学童保育士は最前線にいる。
私たちの仕事は信じられないくらい重要だ。
そして、確かに最前線の現場は問題ばかりかもしれない。でも、私たちができることはまだまだたくさんある、そう実感した一日だった。
ちなみに、写真に載せた本はJugendamtの人からのおすすめで、私も買って読もうと思っている。
保育士・学童保育士の仕事をしている、またはする予定なら、KWGについては知らないといけない内容だ。
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