【ドイツの学童保育】午後の自由と学童の現実:ドイツの小学校が抱える課題

ドイツの学童保育

先生が授業中に何気なく言っていた。
「世界で小学校がお昼に終わるのは、たぶんドイツだけよ」と。

ドイツの小学校はほとんどが午前で授業が終わる。時間割が早いときは11時半に下校だ。
午後の時間は完全に自由で、学童に行く(残る)か、家に帰るかは家庭次第である。

 

午後の学童は“学校の続き”のような場所

ドイツの学童は、日本のようにのんびり遊んで過ごす場所ではない。

むしろ「午後の学校」と言ったほうが近い。

お昼ごはん、宿題、外遊び、プロジェクトの時間など、すべてがきっちり時間割で動いている。

自由な雰囲気の中にも、ルールと秩序がある。

学童で働いていると、ここがただの預かり場所ではなく、教育の延長であることを強く感じる。

 

 家に帰る子どもたちの現実

一方で、家庭の事情などで学童に通わない子も多い。

午後は家で宿題をするが、親が忙しくて見てあげられないケースもある。

サポートの有無で、勉強の理解度や学習習慣に差が出やすいのが、ドイツの学校生活の特徴。

というのも、ドイツの小学校は三年生あたりから急に内容が難しくなり、四年生で進路が決まる。留年する子も少なくなく、家庭の支えがどれほど大事かを現場で実感する。

 

なかなか変われないドイツ

この制度の背景には、「母親が午後に家で子どもを見ていた」という昔の家庭モデルがある。

共働き家庭が増えても、教育制度はなかなか変わらない。

「ドイツはなかなか変われないの。」先生がぽつりと言っていた。

それがドイツらしいといえばそうだが、現場ではすでに限界が見えている。

 

 

2026年から始まる“学童の権利”

ようやくドイツでも、2026年からすべての小学生に学童の利用権が保証される。これは「午後の教育とケアを家庭任せにしない」という方向への大きな転換でもあるだろう。

正直、当然の流れだと思う。ただし問題は、人手である。

すでに多くの学童が職員不足で、十分なサポートができていない。制度だけ整っても、現場に人がいなければ機能しない。教育の質を保つには、まず現場の支えが必要だ。

 

午後の自由とその裏側

ドイツの小学生は午後が自由だ。その自由の裏には、学童という大きな支えと、まだ制度が追いついていない現実がある。

学童の権利化は、ようやくその不均衡を是正する一歩だ。

ただ、これを本当に機能させるには、“人”をどう確保するかが鍵になる。

 

 

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