ドイツ人って、雨の中傘を差さずによく歩いているイメージがあるのは私だけではないはず。
ただ、ドイツの普通の小学校の学童保育では、子どもを雨に濡らせてはいけないのだ。
これも実習生だった時の経験である。
あれは6月くらいだったと思う。
その日、私は同僚と子どもたちと、宿題が終わった後に校庭に遊びに出た。
すると、まさかのゲリラ豪雨襲来。
本来子どもたちは濡れるべきではない。だけど、子どもたちは私たちの制止を振り切り、雨の中校庭へ駆け出した。雨にあたり、走り回り、くぼみにできた水たまりで水浴びをし、文字通りびしょぬれになった。
雨の校庭で肩を組んで歌う男の子たち、みずたまりの中で温泉につかるように楽しむ子ども、冷たいキャーキャーと叫ぶ女の子たち。最高に楽しそうな彼らを見ていると、止めることができなかった。
「やべー…。まじでクビになるかも(笑)」と同僚は呟いた。
学童保育は、親が仕事をしている間に子どもを預かる制度。当然、子どもが風邪をひいてしまったら仕事に支障が出る。冷静に考えれば、雨に濡らすのはタブーなのだ。
やがて雨がやみ、子どもたちは急に我に返る。
さっきまであんなに楽しんでいたのに、乾いた空気の中でびしょ濡れの服を着ているのはこの上なく気持ちが悪いのだろう。みんなのテンションは一気にダダ下がりだった。
そんな中、うちのクラスの男の子たちは、日向に寝転んでどうにか服を乾かそうとしていた。
私たち職員の間には、「あーあ、やっちまったな……」という空気が漂っていた。
そして、緊張のお迎えの時間。
「すぐ帰ってシャワー浴びれば大丈夫ですよ。」
と、寛大な親御さんもいたものの……。
「これから出かける予定だったのに!一回帰って着替えないといけないじゃない!!」
と、不満をあらわにする親御さんも。
そして極めつけは、
「ちょっと! うちの子、なんでこんなにびしょ濡れなの?!
この子が風邪をひいたら、私は仕事に行けない。お金が稼げない。ご飯が食べられなくなる。
責任取ってくれるの?! この子は私の子。私が言うことに従って!」
と、ものすごい剣幕で怒る親御さんもいた。おっしゃる通りである。
私はまだ実習生だったが、一応同僚と一緒にお叱りは受けた。
なるほど、子どもが雨に濡れるとこうなるんだなと学んだ。
その後同僚は親御さんたちからのクレーム対応をする羽目に。
「子どもたちを雨に濡らすのは、やっぱりやめといた方がいいんだな。」
そう実感した、学びの多い一件だった。
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画像出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=25700152&word=%E9%9B%A8%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%90%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82
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