これから1年後期のPraxisbesuchを控えているひとも多いことだろう。
今回は私が3年の経験を通して学んだこと、個人的に大切だと思ったことを挙げていく。
場所・部屋選びからスタート
私の場合は、まずPraxisbesuchを行う部屋を決める。
部屋を決める基準としては、「自分がその部屋を好きか」「やりたいテーマに合っているか」
その部屋に来る子どもたちを観察し、誰がどんなBedürfnisseを持っているか、子どものやりたいこと、同時にその子どもが今学ぶべきことを見つける。
それをうまく結びつけられるアクティビティを見つけ、理由づける。
プランを立てる
試験内容はコンセプトの中に必ずあって授業でも確認するが、今一度目を通して漏れのないように頭に入れよう。
プランは常に子ども目線で考える(内容、難しさ、時間配分など)
- 年齢に応じた内容の工夫(3歳児と5歳児では理解力が違うので、説明の仕方を変える)
- 難しさの調整(例えば、塗り絵なら「自由に描く」 vs 「線の中を塗る」 vs 「色の指定をする」など段階を設ける)
- 時間配分の工夫(集中力が短い年齢なら短時間で完結するアクティビティにする)
あと重要なのが、学校で習うすべてのことを詰め込むことだ。例えば「多様性」「文化」「平等・公平」とか。そうしてアクティビティに意味的な厚みを出すこと。
Ausarbeitung:特定の子どもについての記述は、少なすぎると観察していないと思われるので絶対だめ!長くなりすぎないように、でもポイントはしっかり押さえて書く。
練習と興味を引く工夫
計画をして、とにかく練習する。
練習する際に、子どもたちの興味を引くポイント:子どもたちに「〇〇をやるんだけど、やりたい?」と聞いて回り集めると、あまり集まらないのが常。
子どもが部屋で遊んでいる中で、1人で勝手にそれとなく始め、楽しそうにやっていると子どもが寄ってくる。
オリジナリティは進め方で出す
仲の良い先生が「ここだけの話…」と言っていた。
「ほとんどの生徒が最初の gezielte Aktivität の Praxisbesuchでは、 “Bilderbuchbetrachtung” をする。大体テーマはその季節のイースターとか。やっぱり続くと、見ている方からすれば本当に退屈なのよ。」
実際、他のクラスメイトはみんなそれをしようとしていた。
そして「他と差を出したい」と、突飛な事はしなくていい。他と違うということについては直接的に大きな評価には繋がらない。ただでさえ緊張の時間なのだから、レベルを上げて自分の首を絞めることはない。アクティビティのテーマではなく、進め方でオリジナリティを出すのがいいのだ。
みんなと違う題材を選ぶ必要はないけど、進め方にちょっとした工夫を入れるとオリジナリティが出る。
例:Bilderbuchbetrachtungでオリジナリティを出す工夫
- 五感を使わせる → 絵本の内容に関連したものを 触る・嗅ぐ・味わう などして、体験を通じて物語に引き込む。
- テーマをずらす → 例えば、イースターなら「イースターのうさぎ以外の動物が主人公だったら?」など、新しい視点で考えさせる。
- 子どもが話の続きを作る → 本の途中で止めて、「この後どうなる?」と考えさせたり、絵を描かせたりして、自分たちで物語を作る。
先生がワクワクするポイント
やっぱり、先生が見ていてワクワクするのも大事だ。そして、先生がワクワクするのは…
「子どもたちが心から楽しんでいる様子を見た時」
「計画通りに行かないとき→さあ、どう反応する?!」
事前準備の徹底
▼私が実際に提出したAusarbeitungの表紙
前日または当日、耳タコになるくらい、自分がPraxisbesuchがあるということを実習先全員に知らせる。→予測不可能な事態を防ぐため(例えば:事情を知らない同僚がうっかり部屋に入ってきて、子どもたちの興味を引いてしまったり…)
Ausarbeitungは内容をしっかりと確認し、期限までに提出する。
私なりの工夫は、読む側のことを考えて、出来るだけ写真やイラストを入れ、モノトーンにならないようにしたこと。
当日、想定外のことが起きる!
当日、Praxisubesuch中に子どもたちが予定しないことをやりたがる!
→子どものやりたいことをさせる、それにどう同伴するかがポイント。
【経験談】1年後期のgezielte Aktivität(kleinere Gruppe)
テーマは「平和のために、おりがみで折り鶴を折ろう」
テーマを選んだ背景
実習先がオープンコンセプトのため、どの子どもが来るのか予測不可能。
そのため、個人的にPraxisbesuchのためのグループを作らせてもらった。
その子供たちは私と強いBindungがある子たちで、なぜかおりがみが大好きで手先がとても器用だったので、難しめの折り鶴をチョイス。そのうちの一人がウクライナ出身で、当時戦争が始まった背景もあり、「平和」というキーワードと結びつけることに。
大まかなプラン
- 挨拶
- 前に円を描いて座り、折り鶴を見せる。
- 子どもたちは席に着き、私はビーマーを使い、折り鶴の折り方を一通り説明
- 子どもたちおりがみ開始、私はヘルプに回る
- 最後にもう一度円を描いて座り、子どもたちが各自折り鶴を見せ合う
- 私が日本で折り鶴の持つ意味「平和」を説明する、ウクライナの戦争にも少し触れる
- 最後に子どもたちが一人ひとり自分の母国語で「ありがとう」と言い、終了。
当日の現状
予定していた子ども8人のうち、7人が来ない!
→ 急遽他の子どもを集めたが、6人しか集まらず、これは減点。
急遽集まってくれた子たちは折り鶴が難しすぎた!
→ 直前に、比較的簡単な「鳩」の折り方を手書きしたが、使う精神的余裕なし。
→ プランBの大切さを痛感!
進行中のトラブルと対応
最後に子どもたちと円を作って座り、自分が作った鶴を見せ合い、締めに自分の母国語で「ありがとう」と言う計画だったのだが…
しかし、実際の子どもは集中力が続かず、折った鶴を飛ばそうとした。
私は「それはダメ」と言わず、少し遊ばせて、最後にどうにか円に座らせて締めに持ち込んだ。
先生の評価とコメント
先生曰く、「あの時に鶴を飛ばしちゃダメと言っていたら、減点していた。」
あの時の子どもたちは集中力が切れて、作った鶴で遊びたがっていた。ベストは、「じゃあこの鶴を飛ばそう!」と子どもたちの気持ちに沿った形、だそうだ。
「私たちの仕事は自分のプランのためではなく、子どもたちのためでしょ?」
→フレキシブルさがどこまでOKなのか、明確な基準はない。学ぶテーマから大きくそれなければOKとでもいうべきか。でも大事なのは、自分の感覚だ。
評価に対する姿勢
→ 「なるほど。またひとつ勉強になった。」という学びの姿勢が本当に評価される。
Reflexion の記録
先生やAnleiterinが言ったことは、一字一句漏らさずReflexionに書きたい。
できればAnleiterinに書記をお願いできるとベスト。
個人的な感想
まず、これは先入観なのだが「折り鶴を飛ばす」という考え自体が思いつかなかった。
ドイツ人からしたら、折り鶴はただの折り紙。その部分は自分自身の考え方をもっと柔軟にする必要があると感じた。
正直いうと、この時までプラン通りにする必要はなく、フレキシブルでいるべきということを知らなかった。でもここでそのような言い訳をする姿勢は評価されない。
「なるほど。またひとつ勉強になった。教えてもらって大変有難い。」という学びの姿勢が本当に評価される。
大事なのは、「昨日の自分よりも少し成長している」ことだ。
まとめ
実際やってみると、準備は大変だし、ものすごく緊張する。
Praxisbesuchのことしか考えられなくなるほどの大イベントだ。
緊張して、普段できていることができないこともある。
当日何が起こるか、誰もわからないのに、綿密なプランを書かないといけないジレンマ。
でも、見られるのは 「最大限準備したか」 という点。
そして、それ以上に先生たちが見ているのは「子どもとの関係性」。
先生はバカじゃないので、その時に少し訪問してきて見ただけでも、その生徒が普段どんな姿勢で実習をしているか、子どもたちとどんな関係性を築いているか、感じ取るのである。
そして緊張していると、自分のプラン通りに進んでほしいと願ってしまう。なぜなら流れが頭に入っているから。でも、子どもがもし他の事をしたかったり、アイデアを提案してきたら、それを受け止める努力をしてみる。「よっしゃ、自分の力量を示すチャンス!」と受け止めることができるようになりたいものだ。
経験から言って、計画通りに行くことのほうが少ない。だから、想定できることを最大限想定しておく。
準備はいくらでもできる。そしてその起こりえることは「日常」にヒントがある。
しっかり準備して、かつ「何が起きても驚かない」という心持ちも忘れない。
でも、基本は「君のままでいれば、大丈夫だよ。」
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