ドイツの保育士養成コース、PIA-Ausbildungでは、3年間のうちにたった一度だけクラス全体での修学旅行がある。
行き先は「どこでもいいよ〜」というざっくりしたスタンスだったので、最初は「スペイン行っちゃう?フランス?ブルガリアもアリじゃない?」なんて盛り上がったけど、現実はそう甘くない。
費用は全額学校負担…じゃなくて、学校が一部だけ負担してくれて、残りは自腹。というわけで、安く・近場・アクセス簡単なとこを探した結果――
最終的にたどり着いたのは、フライブルク近郊、黒い森の奥のSimonswaldにある山小屋。
もうこれぞ、ザ・ドイツな林間学校スタイルなのである!
まさか30歳超えて体験するとは思わなかった。。
4泊5日、基本自炊。朝・昼・晩の食事当番はローテーション制で、買い出しもメニュー決めも全部自分たち。さらに、レクリエーションや遠足などのプログラムもクラスで相談して決めていくという、完全セルフプロデュース型の修学旅行は、決めることがいっぱいだ。
しかも私たちは、Erlebnispädagogik(体験型教育)の講師まで招いて、チームビルディングのワークショップまで体験することにした。
夜は屋根裏でパーティ、ビアポン(ドイツの飲み会ゲーム)、カラオケなどが行われた。
クラスメイトとは正直、毎日顔を合わせているだけで十分なのに、今度は四六時中一緒に生活するときた。
新たな一面がいろいろ見えてくる。
でも正直、4泊5日ずっと一緒って、なかなかの修行だった。
気を遣いすぎて疲れるし、ちょっとしたことでイライラしたりもするし。でもそれも含めて「集団生活を学ぶ」ってことなんだろうな、きっと。
若い子たちは夜な夜な上の階であんなことやこんなことをして盛り上がってたっぽいけど、お酒は基本的に禁止。
まぁ、私たち大人組は「はいはい、若いね〜」って感じでスルー。大人の余裕(と疲労)とでも言っておこう。
そんな日々の中で、一番心に残っているのはある夜のこと。
私たちが泊まっていた山小屋は、山間の集落にあって、インターネットがまったく通じない場所だった。Wi-Fiはもちろんなし。
誰が始めたのか、ある晩ふと外で焚火が燃え始めた。
それを囲んで、みんな自然と集まってきた。
特に話すわけでもなく、ただ火を見つめながら、ぼーっとする時間。
薪がパチパチと燃える音。
静かな空気。
スマホをいじる人は誰もいなくて、
誰も焦ってなくて、
みんなただ「そこにいるだけ」。
ああ、こういうのって、本当はすごく贅沢なのかもしれないな、と思った。
「楽しかった?」って聞かれると、正直「楽しい」だけじゃ言い切れない、濃い〜〜〜体験だった。
でも、学童保育で働く私からしたら、小学校4年生の子どもたちが経験する“林間学校”を、自身が体験することで、見えてくるものもたくさんあったと思う。
しんどかったけど、学びがあった。
疲れたけど、心に残った。
でも正直に言うと、もう二度と行きたくない。(笑)
ちなみに、部屋のどこかに「ヤマネが出ます」と張り紙があって、クラスメイトが本物を見かけたらしい。
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