私がこのブログ内でさんざん言っているこの言葉だが、一体何がどうツライのか?
今回はその理由を徹底的に解説していきたい。
まるで高校生活のようなクラス・時間割・授業
大学生のような自分で決められる時間割ではない。学校生活はまるで高校生。授業はクラス単位で、時間割もあり、担任の先生もいる。よく考えてほしい。今からもう一度高校生活送りたいですか?しかも年の離れたドイツ人の若者たちと一緒に?
休み時間中におしゃべりしたり、教室を移動したり、空き時間をつぶしたり。これが一人だと結構寂しいから、周りとコンタクトを取っていかないといけない。
面倒なのが、グループワークの多さ。全ての科目で、毎回のようにある。他の生徒たちはグループワークが来るとわかると光の速さで仲良しを集めてグループを組む。もし友人兼良きグループワークパートナーみたいな人が傍にいれば大分気が楽だけど、それがいなくて一人の場合は、毎回まずどこのグループに入ろう…という所から始まるので、面倒だ。
2年目の始めに、仲良しだった韓国人の友人がいなくなってしまってから3年目になるまでの一年間、私は上記のようなグループワーク難民だった。
年が離れたドイツの若者との学校生活
これは私が良いクラスメイト達をもったのにかかわらず、それでもやっぱり年下のドイツの若者との学校生活はしんどかったと言わなければいけない。
というのも、大人になると、ある程度自分に理解がある人との生活を送っていると思う。パートナーや家族、友人に囲まれて過ごしていた生活から、自分に興味がある人ない人、自分に理解がある人ない人、外国人に理解がある人ない人など、色んな人との共同生活を強いられる。
しかもみんな自分よりはるか年下のドイツの若者。考え方、価値観や興味関心などが全然違う。まだ親元に住んでいるような20歳前後の若者は、時に恥知らずだし世間知らずで、それでたまに嫌な思いをすることもあった。
あとドイツ人と日本人との違いも明らかになった。ドイツ人は仲良くなるのに半年以上は絶対かかるし、向こうから寄ってきたりは絶対にしない。文句があれば直接言うべきとか、人間関係の構築の仕方が日本人のそれとは違う。
勉強内容の多さや提出物の厳しさは大学並みかそれ以上
保育士のAusbildungは、ドイツで大学卒業同等の資格と認められる。
それもそのはず。学校で教科は13教科あり、教育専門科目であるEBGに出てくる内容は、時に日本の大学の心理学科で学ぶようなテーマもある。
ここでいう提出物は、レポートやプレゼンテーションのことで、内容もかなり細かく、レイアウトや文字の大きさも細かく決められている。一つの提出物にかかる時間が半端じゃない。
ドイツの保育士や教育は、日本のそれと全然違う。大学よりAusbildungの方が楽そうと思ったら大間違い。大学に通っている友人が口をそろえて『保育士のPIA-Ausbildung、大学(マスター)より100倍大変そう』と言っていたのだから…。
テストは体感一年中。バトンを渡せないマラソン
既に述べたように、1年間で13教科を学び、前期と後期、1回ずつテストがある。
筆記試験はマークシートとか甘っちょろいものではなく、全て文章記述式。テスト時間は大体1時間~2時間で、問題用紙が配られ、自分で用意したルーズリーフ3枚くらいにびっしり回答を書く。2時間あっても時間内に書き終わらないこともある。
大体は筆記試験で、たまにグループワーク、プレゼンテーションや提出物に代わることもある。このグループワークの煩わしさが半端じゃない。グループの誰かがさぼりがちだったり、連絡が取りずらくて捗らないとか、意見が衝突したり、プレゼンの当日に急に誰かが休んだからプランが‥とか、本当にやっかいなのである。結局のところ、大変だけどすべて一人で出来る筆記試験が楽だと思ってしまう。
日本の高校生のように、数日間に全教科のテストがあるわけではなく、テストの日にちは、各教科の先生とカレンダーを見ながら決める。それが良いようで悪いのが、他のテストと被らないように設定するせいで、結果一年中ほとんど毎週何かしらのテストがあるようになってしまう。
本当に、心が落ち着く時間がない。まったくないのだ。バトンを渡せないマラソン、暗闇の中で終わりのないマラソンを3年間耐えないといけない。気づいたころには精神が…となっても驚かない。
上の画像の通り、人は3か月間ならどうにかストレスがかかっている状態をやり過ごせるように出来ているらしい。でもその緊張状態が限界を超えると、いよいよ症状が出てくる。
実際私は、頭が回らなくなって普段しないようなミスをしたり、表情がかたまって笑えなくなった。この症状が出てくるスパンは最初は長く、だんだん短くなってくる。
実習先でもタスクが多く、”何もしない”ができる日がない。
私たちはほぼ毎週のように、実習先でAktivitätをしないといけない状況に追い込まれている。それは、定期的に行われる実習先テストの練習だったり、単なるタスクだったり、卒論の材料集めだったりする。Aktivitätを一つ行うにも、準備が必要。何が大変って、準備の方が実際に行う時よりも大変だったりする。何もタスクがない日はめずらしい。
休みについて。大学生は、テスト期間の後に必ずゼメスターパウゼと言って、2週間くらい講義がない、いわゆる休み期間がある。私たちはいくらたくさんテストをしても、休みはない。
常にテストや何かのプレッシャーにさらされながら、休まずにずっと馬車馬のように前に進み続ける精神的負担がどれほどのものか。
PIA-Azubiにとって、学校休暇=仕事。1~8月は学校休暇が4回もあるので、実習先での仕事に重きを置くことになる。学校休暇で休めれば、どれだけ回復できることだろう。
自分が馬車馬かケージの中でずっと走り続けているハムスターのどちらかとしか思えなくなる。
私が伝えたいこと
ブログに今まで数人ほど、ドイツで保育士のPIA-Ausbildungをしているという日本人の方から連絡をいただいた。みんな口をそろえて言っていたのは、『このAusbildungは本当に辛い』
しかも私たちだけでなく、クラスメイトのドイツ人たちも同じように言っている。このPIA-Ausbildungがハードなのは、ドイツ人にとっても同じなのだ。それを私たち外国人、しかも日本人という言語、文化や育ちもまったく違う私たちがやるとしたら、ドイツ人がやる以上にハードなのは当たり前だ。
このAusbildungをする価値がある人は、【本当にドイツの教育学に興味があり、日本のそれではなく、ドイツのそれを本場で学びたい】という人だけ。
目的が【ドイツに住むこと】で、その手段としてただ保育士として働きたいという人には、おすすめしない。なぜなら、目的に対してしんどすぎるから。
私は後者で、何も知らずにPIA-Ausbildungを始めてしまったので仕方がない。だからせめて、現場のリアルをこのブログで伝えたいと思っている。
#ドイツ #Ausbildung #PIA #保育士 #アウスビルドゥング #実習先 #経験 #仕事 #日本人
コメント