私がドイツで最強にエモいと思うのは、終業式近くの非日常

ドイツの学童保育

日本では、終業式の日になると子どもたちは両手いっぱいに荷物を抱えて帰ってくる。

ドイツも同様で、子どもたちは分厚いファイルやスポーツシューズ、着替えなどを山盛り持って帰るのが恒例の姿だ。

問題なのは、分厚いファイル。この1年間で学んだプリントが、10センチほどの厚みのファイルにぎっしりと詰まっていて、かなり重い。

 

「カピバラ、もってぇ~」

うちクラスのチビちゃんたち(7歳)が、その分厚いファイルを差し出してきた。

か細い腕でそんな重い荷物を教室から校門(お迎えの親御さんが待っている)まで運ぶのは、かわいそうだ。

 

「よーし、持ちきれないもの、私に全部よこしなさい!」

 

「わー!!!」

「イエーイ!」

 

バサバサと重たいファイルが次々に積まれていく。

体育着の袋も渡され、私はまるでサーカスのピエロのようにバランスをとりながら、大荷物を抱えて歩いた。

 

歩きながら子どもたちはキラキラした目で、口々に言う。

「カピバラすごお~い、力持ち!」

「カピバラ、スーパーマンだね!」

 

「もちろん」と言いながら内心『ふう~、なかなか重いぞこれ』と思った。

 

とても嬉しそうにキャッキャとはしゃぐ彼らを見て、こちらも自然と笑みがこぼれるのだった。

 

 

こういう、ちょっとした「日常の中の非日常」がとてもエモいと感じるのである。

 

 

今週の学校は、月曜日から授業らしい授業はほとんどなかった。

 

子どもたちは公園に遊びに行ったり、映画を観たり、家に持って帰る荷物をまとめたり、教室の片付けを手伝ったりしていた。

先生たちも完全に片付けモード。あるいは、頭の半分は夏休みに入っているような雰囲気だ。

先週、成績を渡した時点で、だいぶ仕事から解放されたのだろう。

いつものストレスに満ちた姿ではなく、どこかリラックスした雰囲気をまとっている。

 

教室の机と椅子を全部廊下に出すこと、空っぽになった教室。

ある教師が言っていた。夏休みに、教室の整理と準備をする時間が大好きだと。むしろ教師の仕事で一番好きかも(笑)とまで…。

 

子どもたちも、教師たちも、私たち学童保育士たちも。

みんな、この一年間、本当によく頑張った。

 

頑張った後の景色だから、余計心に響く。

それが「エモい」と感じる理由のひとつなのかもしれない。

 

 

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