ドイツ人から日本のプラスチック包装についての批判を受けて気づいたこと。

ドイツ人と日本

ヨーロッパにいる日本人なら、経験があるかもしれない。

日本やアジアのプラスチック包装が過剰すぎるという非難を受ける事。

そして私の住む街フライブルクは、無駄に環境保護問題に関心が高い。

 

私は最近とても嫌な思いをした。日本からのお土産で、学童のうちのクラスの子どもに個包装されているクッキーを買ってったのだが…。

 

子どもたちは大喜びだった反面、ドイツ人の同僚Aが私に『日本とか中国のようなアジアの国では、何でもかんでも小さなものでもプラスチックで包装されているって聞いたことあるけど、本当なんだね。クッキー1枚1枚プラスチックの袋で包装されているなんて、ありえない!』と言った。

まず私は、わざわざ買ってきたお土産についてそういう言い方をされたことに対して驚いた。普通お土産に対して思うことがあってもその場で口に出すか?それもすごく批判的な言い方で!

ありえないのはそっちの方だ…と思いながら、私は日本のリサイクルシステム、ゴミの分別観念、衛生観念の違いについて説明したが、彼女はそれについて特に何も言わなかった。

そしてAはどんどん一方的に語り続けた。今思えば、彼女は私の説明などに興味はなく、彼女の意見を人前で(特に私の前で)言いたかっただけ。アジアでなぜプラスチックが使われるのか、理由があるのか?などという考えは毛頭なく、プラスチック=悪・アジア=プラスチック と決めつける。なかなか自分の考えを変えられない、と言う人は残念ながらドイツ人に多い。(これはドイツ人の友人も言っていた。)

 

 

あの日帰宅してすぐ、私はうちのドイツ人に事の経緯を話した。まず、ドイツ人って人からもらったお土産に対して普通にマイナス意見とか言う文化なの?と聞いた。それは、普通はしないらしい。ドイツでは、お土産に対しては何もマイナスな事は言うべきではないという意味のことわざがあるくらいで、普通は言わないらしい。(そういうことわざがあること自体がすでに面白いけど笑)

 

そこら中にゴミ箱があるのに、そこら中にゴミが落ちているドイツ。

ほとんどゴミ箱がないのに、ほとんどゴミが落ちていない日本。

私個人的に、一番よくないのはプラスチックごみがゴミ箱以外の所に着地することだと思っているので、Aの一方的な批判は納得できなかった。

 

ただ後で気づいたのだが、あの時日本でプラスチック包装が使われる一番の要因を伝え忘れていた。それは、湿度の高さ!!!

でも、Aに説明を補足したところであまり意味はないだろう。次誰かに同じことを聞かれたら、湿度のこともちゃんと説明しよう~なんて思っていた矢先、また同じことを聞かれた。

 

 

実は他に日本のお土産で、Ausbildungのクラスメイトへ小分けの…これまた個包装のお菓子を買ってきていたのだが、そのドイツ人同僚との一件で私はそれをクラスメイトに渡すか迷い、結局やめたのだった。

 

数人のクラスメイトたちと自主勉強会をして、その最後にその小分けのお菓子をあげてみた。するとみんな大喜び!日本に対して興味津々な子たちだったからか、お菓子のパッケージを眺めて、写真を撮っていた。パッケージの絵柄が数種類あることや、芸の細かさがやばい!と一通りはしゃいでから、食べてびっくり、美味しすぎる…!何で日本のお菓子ってこんなに美味しいんだろうね!という具合だ。これくらい喜んでもらえれば、こちらとしてもあげた甲斐があるというもの。

するとその後、そのうちの1人のドイツ人の友人が私にこっそり聞いてきた。

 

『日本のお菓子がいつもプラスチック包装されていることについてどう思う?何か理由があるの?』

 

よしきた!思わず私は聞いてくれてありがとう、と言った。なぜならこちらは答える準備が出来ているし、あの場では『美味しー!』とはしゃいでおいて、別の場所で『こないだ日本のお菓子もらったんだけどプラスチック包装が半端なかった‥』などと言われる方が嫌だから。

日本は湿度がとても高いこと、衛生観念が厳しいこと、路上にゴミ箱はないのにゴミは落ちていなく、捨てる時はちゃんと分別するように教育されていること、そして分別されたプラスチックごみはリサイクルされること。

友人はすごく納得したような表情で言った。『…そうだったんだ!!!今やっとわかったよ。ちゃんとした理由があったんだね。特に湿度が高くてカビが生えやすいなんてまったく想像できなかった。きちんとリサイクルされるなら、プラスチック個包装は意味があるよね。』

 

 

私は打ち明けた。実はさっきのお菓子はうちのクラス全員分配る用に買ってきたけど、例の同僚の件で渡すのをやめたということを。

すると彼女は本当に残念そうな表情で言った。『えーーー!そんなのもったいない!!配るときに一言、さっきの説明をみんなにしたら良かったんじゃない?その説明聞いたらきっとみんなの考えは変わると思うよ。』

うん‥まあそうだね、と言った。

『そうやって一人が発信していくことで、周りに伝わり、そこからどんどん遠くまで伝わっていく。でも発信する人がいなければ、誰も知ることが出来ない。正直この話題、ドイツ人の間でも頻繁に出るテーマなんだけど、誰も日本の湿度が高くてすぐに食べ物がカビちゃうとか、人々がゴミ分別の教育をされているとか、ちゃんとしたリサイクルシステムがあるなんて知らないんだよ。それを知ればこっちの人の考え方も変わると思うんだ。もし次にこの話題になったら、今カピバラから聞いたことをみんなに伝えるね。』

 

その通りだと思った。ただモヤモヤしているだけでなく、私がちゃんと発信していかないとけないのだ。

そのためには、自分自身が日本についてもっとよく知らないといけない。たまに、聞かれてもすぐに相手を納得させることが出来るほどの理由をつけて説明が出来ないことがある。それは知識が浅いせいだ。

 

いや~それにしても、友人はよくできた子だ。こういう子が自分の子どもの保育園の先生であってほしい。ドイツには若くてもめちゃくちゃしっかりしている子がたくさんいる。

ちなみにその友人は日本にすごく興味を持っていて、普段よく私に日本について聞いてくるし、私が夏に日本に帰った時も連絡してきて、『お願い、何でもいいから一つ日本のものを買ってきて!』と言ってきた。(私は益子に行った際に彼女の瞳と同じきれいな水色の小皿を見つけて、それをプレゼントした。)

 

同僚Aは異国や異文化にまったく興味関心がなく、リスペクトもないタイプだ。アジアは中国、南米はメキシコ‥とこの広い世界をかなりおおざっぱに分けて、それで十分だと思っている。私が日本人だということも、彼女は最近やっと認識したと思う。そして日本と中国の違いもさっぱりわからないのだ。

 

興味・関心の度合いは、理解したいと思う気持ちに少なからず関係してくるとも思った。

 

ただ同時に、日本にプラスチックが多すぎると言うことも、事実だと認めざるを得ない。特に前回の一時帰国の際に強く感じた。そのことについては、また別の記事で書きたいと思う。

 

 

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