暗闇の先に見えた小さな光

日記

私は誰かに、駄々をこねていた。「何でダメなの?」とそばにいる大人に聞くと、決まってうんざりした表情でこう返される。

「ダメだからダメなの!!!」

この言い方が一番嫌いだ、と私はハッキリと感じた。理由がわからないから納得できない。不満が爆発する。そんなに聞き分けのいい子ではなかった私。

遠くにうちのクラスの、とある子が見えた。あれは確かに彼だった。

  

目が覚めて気がつく。――― あぁ、夢だったのか。

その後しばらく、「ダメだからダメ」と言われた時の自分の感情が、ずっと心に残っていた。

もしかしたら、これはうちのクラスの子どもが感じてることかもしれない…。

その日の仕事では、クラスの子どもたちに誠心誠意向き合ってみた。今日はこういう状況だから、とか普段説明しないようなこともちゃんと伝え、ダメと言わなければいけない時は、必ずその理由も説明した。

例えば食堂で並ぶとき、「ベーブレードは今だけポッケの中に入れてね、お皿を運ぶとき両手が必要だから。」

すると、いつも駄々をこねたりなかなか言うことを聞いてくれない子たちも、ちゃんと聞き入れてくれるではないか。

「わかった!」ポケットに入れた時の彼の表情は、どこかスッキリしている気もする。納得してくれているのが伝わってきた。こう書くと、理由を説明するのは当たり前のように思えるが、日々では忘れがちな事の一つでもある。

ふと「カピバラ~」と私を呼ぶ声がして振り返ると、うちのクラスのとある男の子がぶっきらぼうに、彼のベーブレード類が入った袋を突き出して「これ、ごはんの時間だけ預かっててくれる?終わったら返してね。」と自ら私に申し出てきたではないか。私の中で、彼は扱い方をまだ攻略中だっただけあって、嬉しかった。

 

うちのクラスの子どもたちは、他のクラスの教諭も呆れるほど個性豊かで確かに扱うのが大変。だけど、日々の積み重ねで一歩一歩、彼らの心に近づいている感覚があることでこちらもなんとかモチベーションを保っている。

 

昼ご飯の後校庭で子どもたちを遊ばせていると、一人のお母さんがやってきた。

「これ、さっきパン屋に行ったついでに差し入れ、ハートのベルリーナー。みなさん糖分が必要でしょ。いつも本当にありがとう。」

彼女はとびぬけて感じのいい、話しやすいお母さんで、いつも私たちに感謝の意を示してくれる人だ。こちらこそ、まだ手探りの状態で満足した学童保育をやれているかわからず恐縮だが、「ありがとう」の一言で日々の苦労が大分報われる。(ちなみに彼女はクロアチア人。クロアチア人は感じが良くて優しい人が本当に多い。)

こうして、色んな人に支えられてなんとか前に進んでいくのだなと思ったのであった。

 

#ドイツで働く #子ども #保育士 #学童保育 #Ausbildung

コメント