ドイツの小学4年生、進路相談が始まる。

日記

ドイツの小学校は4年生までで、その後は個人の学習能力、速度や意欲によって3種類の学校に分かれて進学する。

3つの学校についての説明は複雑なので他のサイト記事に譲るとして、4年生になったその冬に、進学先についての話し合いは始まる。それがまさに今で、私が以前受け持っていたクラスの子どもたちはこの話題でもちきりだ。

私の働く小学校では、基本的に小学校1年生から4年生まで通して同じ担任の先生が見る。長い時間一緒に過ごし、子ども一人ひとりの性格や学習能力などをすべて把握し、経験からのお勧めの進学先をこの時期の三者面談で両親に伝える。あくまで先生のお勧めだ。同時に両親の希望とも照らし合わせて、進学先の照準を合わせていく。

 

子どもたちはというと、私が聞いた限りでは3種類の考え方がある。どのレベルに関わらず年上の兄弟と同じ学校に行きたいと言う子と、「私のお姉ちゃんはギムナジウムに行ったけど、私は成績が良ければそこに、そこまでよくなかったらリアルシューレに行くよ。」と現実的な子、あとはギムナジウムに絶対的な執念を持っていて、ギムナジウム以外はありえない、価値がないと言わんばかりの子。

10歳にして、すでに最初の人生の分岐点に立たされているドイツの子どもたち。

 

一方両親側は、現実的かは別として、ギムナジウムに行ってほしいという人が多いらしい。もちろん学歴が高ければ高いほど、その後の選択肢が増えるのだから気持ちはわかる。ただ中にはとても現実的な両親もいて、「うちの子はリアルシューレが妥当だ。」と我が子の能力を正しく見極めることができる人がいて、担任の先生としては大変ありがたいと感じるらしい。

担任の先生が何が大変かって、能力的にリアルシューレを勧めたい子の親がギムナジウムに行かせたいと一点張りの時だ。残りの半年ちょっとで、ある程度ギムナジウムに妥当な成績まで引き上げないといけない。

同僚の教師マリオンに以前、そういった時はどうするの?と聞いたことがある。

「もちろん私がするのはただのアドバイスだから、そういう場合は両親の言う通りにギムナジウムに行かせる結果になることが多いよ。でも例えば、前回の担当のクラスでまさにそのパターンでギムナジウムに行った子がいて、全然勉強についていけなくて結局一年後にリアルシューレに転校した子がいる。こっちだってだてに長く教師やってないし、性格とか全部ひっくるめた上でアドバイスしてる。私のアドバイスはあながち間違っていないよ。フフフ」

「ギムナジウムで勉強に全然ついていけない時の本人の気持ちを考えると、辛いだろうね。」

 

 

先日、私の知る4年生の女の子がすごくドキドキした様子で言った。「明日、先生とママと進路面談があるの。リアルシューレに行けって言われたらどうしよう…。私絶対ギムナジウムに行きたい。」

彼女の危機感といえば、レールから外れることを極端に怖がっているような感じだった。別にリアルシューレからギムナジウムに移る人もいるのに、なにをそんなにおそれているのだろう。でも私の知る限り、彼女は本当に頭のいい子なので、能力的には完全にギムナジウムに値する。問題はドイツ語だ。私は彼女に「君は賢い子だから、きっと先生はギムナジウムを勧めると思うよ。でも、もしリアルシューレと言われても、全然悪くない。そこから頑張ってギムナジウムに行く人もいるからね。」としか言えなかった。

 

正しい自分の居場所で、多少の差はあっても同じくらいの能力の人たちに囲まれて、自分達のキャパに適した速度、内容量を勉強していくというのは、実際生徒の気持ちになると、全然悪くないかもしれない。

上の下より、中の上の方が気分はよっぽどいい。と私は個人的に思うのだった。

 

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