ドイツでアニメ好きが気にする世間体

Anime

最近クラスメイトに3人ほどアニメ好きを見つけた。それも、本人が公言しているのではなく、なんとなく私が探り出した感じだ。

ディナはよく漢字モチーフのアクセサリーやTシャツを身につけていて、新しいものを買っては私に「この漢字、なんていう意味?」と聞き答え合わせをして、ホッとしている。(笑)その際に聞いたところ、大のナルトファンだということがわかった。

チャックは、ポケットから垂れ下がっていたネックストラップがソードアートオンラインなのを見て気がついた。直接聞いてみると、彼はアニメ好きでお気に入りはソードアート、最近は鬼滅の刃とハイキュー!!も見ているそうだ。

私もアニメは好きだが、自己紹介で言ったりはしない。日本でもそんな世論というか雰囲気はあると思うが、残念ながらドイツでも同様で、成年が「アニメを見るのが好きです」と声を大にして言うのは何だか少しはばかられる。アニメは子どもが見るものだと、多くの人が思っていることを自覚しているからだ。

以前ベルリンかどこかの公園のあまり目立たない茂みの向こうで、コスプレしているドイツ人たちがひっそりと交流していたのを見かけたことがある。LGBTSなどの、個人の価値観を大事にするドイツなのに、まだアニメ好きのコスプレなどは少数派で、「認められていい価値観」に挙がっていない感じだ。

ただフェリックスは少し違った。彼はいつかの自己紹介の際に、さらっと「アニメが好き」と言った。それを聞き逃さなかった私は、その後彼に話しかけて仲良くなった。

フェリックスはナルトから始まり、たくさんのアニメを見ている。好みはジャンプ系で、最近は鬼滅の刃を見ているらしい。普段はドイツ語字幕のアニメサイトで視聴しているそうだ。(彼曰く「やっぱりドイツ語吹替じゃなくて、日本語のオリジナルバージョンじゃなきゃね。」)ドイツ語字幕のアニメサイトを教えてもらったが忘れた。話してみると結構なアニメ・日本ファンで、来年はドュッセルドルフで開催されるアニメのイベント:JAPAN EXPOなるものに参加したいと意気込んでいた。アニメのフィギュアとか、とにかくいろんなものがあるらしい。

すごく日本の文化にも憧れていて、いつか絶対日本に行ってみたいと言っていた。シャイなドイツ人は私が日本人だとわかっていても、積極的に話しかけてくるわけでもなく、いざこちらから話しかけてみるとすごく情熱的に語ってくれたりする。

ドイツで一般的にウケがいい趣味は、スポーツとかアウトドア系だ。履歴書とかには普段運動なんかしなくても、どうにか捻り出してアクティブな趣味を書かないと…という暗黙のルールというか、プレッシャーのようなものがある。私もいつか履歴書に血迷って、もう20年くらいやってもいない「バトミントン」と書いたことがある。(笑)

最初の頃の授業中、一対一で自己紹介をするという場面があり、その際隣に座っていたフェリックスと組むことになった。私は近頃スポーツもしないし、これといった趣味がなくて、自己紹介の際にちょっと困る。やりたいことはいくらでもあるのだが、極めているようなことはまだない。かといって、趣味は料理とか音楽を聞くこと、と言うのは面白みに欠ける気がする。すると彼が、「趣味を言う時に、色んな事を気にしなくていいと思うんだ。趣味はスポーツだけじゃない。普通に好きなことを言えばいい。だからアニメが好き、でいいと僕は思ってる。」

 

そういえば、ハンターハンターのアニメ続編が2022年1月放送開始という情報を耳にした。これはフェリックスにいち早くお知らせしてあげなくては。

好きなことを語れる相手がいるのはとても嬉しいことで、きっと相手もそうに違いない。

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