【ひそかな悩み】学童で働くなら、保育士のAusbildungではなくソーシャルワーカーの大学へ行くべきだった?

Ausbildung

Ausbildungを始める前に私は、保育士になるためのAusbildungか、ソーシャルワーカーになるための大学に行くか迷っていた。(どちらの資格でも学童教諭として働くことが出来る)

Ausbildungにした決め手は色々あった。まず条件のドイツ語がB1~B2でいいことと、働けること(収入があること)、3年で終わること、学校がフライブルク市内にあるので通いやすいこと。

ソーシャルワーカーのStudiumの条件は、ドイツ語C1、4年間学生でそのうち1ゼメスターだけ実習(半年だけ)だった。

後々のことを考えると、大は小を兼ねるというか、ソーシャルワーカーの資格を持っていれば選択肢はかなり広がる。

ただ当時の私はドイツ語C1のテストを受けるモチベーションがなかったし、30歳を越えて更に4年も学生をするのはだいぶ気が引けた。

Duales studiumというPIA-Ausbildungのような働きながら学べる大学システムもあるにはある。(半年大学で学んで、半年実習。もちろん収入もある。)そのシステムを導入している大学がフライブルクにはなく、一番近い大学がVillingen- Schwenningenという黒い森の奥の奥、これ以上ない田舎のような街にあった。そこまでフライブルクから電車で片道1時間半の通学はかなり大変そうと思い、諦めたのだった。

 

まあ結局、Ausbildungを始めて半年くらいの頃から私は悩み始めた。理由は3つ。そして悩みぬいた結果、同僚に相談した。

 

 

Ausbildungで学ぶ内容はほぼ幼稚園児相手の保育士向け

1つ目は、私のやっているAusbildung zum Erzieher/in は”3歳から14歳の子どもと仕事するために勉強する”ということになっているのだが、実際に学ぶことは幼稚園児についてが圧倒的に多いのだ。

昨今の保育園義務化により、Krippe(0から3歳までの赤ちゃんが通う)の需要が上がり、クラスメイトの実に40%はKrippeで実習している。学校でも、選択授業なんかで3歳以下の子どもについて集中的に学ぶことは可能だが、6歳以上の子どもについての授業はない。

子どもに教えないといけないことはたくさんあり、そのうちのいくつかは学童保育でも大切になってくるだろう。だが実質、幼稚園で保育士になりたい人のためのAusbildungだと思わざるを得ない気がするのだ。

実習先が学童の人が周りにいない

2つ目は、実習先でのコンプレックス。

普段3~6歳の子どもについて勉強しているのに、職場では6歳以上の子どもの世話をする。子どもの年齢差はとっても大きくて、学童教諭の仕事は保育士とは若干異なる。子どもが社会に溶け込み、社会の中でうまく生きていくための第一段階として、気持ちや社交面でのサポートが多い。

あとAusbildungのクラスメイトで、実習先が学童保育なのが私しかいないというのはすでにお話した。実は同じ学年の他のクラスにも学童で働く人が一人もいないのだ。

最近うちの実習先に来ていた、他の学校でPIA-Ausbildungをしている人にも聞いてみたが、その人のクラスにもいないらしい。

 

 

それが残念だと思うのは、実習先でのことを気軽に話したり、理解してくれる相手がいないこと。

実習先では色々な課題をこなさなければいけなく、テーマなども自分で考えなければいけない。

私の場合は、そういった時にアイデアを出し合ったり(「私はこんなテーマでやろうと思ってるよ」とか、「こないだこんなテーマでやってみたけど、子どもたちの反応は〇〇だった」とか)経験を語り合えるような相手がいないのが、本当に不便なのだ。

インターネットにもあまり情報が載っていないのは、今お話しした現状ゆえに仕方ない。

ソーシャルワーカーの方が、学童教諭に向いているんじゃ?という疑問

3つ目は、私の職場の同僚がほとんどみんなソーシャルワーカーか、それに近い何かで、保育士の資格で働いている人がほとんどいない。(そしてその唯一保育士の資格で働いている同僚と私は全く気が合わない)

ソーシャルワーカーだと、やはり子どもに対する視点も”ならでは”の視点で、保育士のそれとは少し違うのだ。もう少し視野が広いというか、子どもを”年相応の子どもまたは人間”と認識して、異常に小さな子ども扱いしないというか‥

その気の合わない保育士の同僚を見て思うところがある。その人は私と同じ学校でPIA-Ausbildungをした人なので、その人が学んだことを今私が学んでいる。だからわかるのだけど、その人は学校で習ったことをそのまま学童保育に応用している。当たり前だ。だけど、それがたまに、幼稚園児に対してするようなことをしているので、私の中で疑問に思うことがある。

このままAusbildung を終えて保育士の資格を取って学童保育で働いても、その同僚のように、勉強した中身と実際の仕事内容が若干合わない残念な人になっちゃうのか‥?というのが一番大きな悩みだった。

Ausbildungの後にソーシャルワーカーの大学院に行った人に話した

最悪、今からC1取ってソーシャルワーカーの大学に編入するか、もしくはAusbildung 終了後にソーシャルワーカーの大学に行くことすら頭をよぎりだした。

実際Ausbildung後にソーシャルワーカーの大学に通いソーシャルワーカーになる人は多い。(ちなみに保育士のAusbildungを修了した人は、ソーシャルワーカーのStudiumは2年に短縮可能。)

私の職場にも実際そうした人を何人か知っているので、先日その一人に悩みを打ち明けてみた。

するとその人はこう言った。

「経験者だから言えるけど、それをする意味はまったくないよ。私は実際、大学院にいた2年間を無駄だと思ってる。大学で学ぶ内容は法律とか、実技に使えるようなことはなくて、成績は筆記テストがすべて。講義に行っても私がいることなんか誰も気にしない。誰との繋がりもない。実際仕事に使う本当に大切な事はすべてAusbildungで十分学んでいたんだなって思ったよ。だからカピバラも、Ausbildungで習うことを信じて大丈夫。」

…そうか。もしかしたら、その同僚と単に気が合わないために、その人がすることに疑問を抱いてしまっていただけかもしれない。

教育先進国ドイツであるからには、保育士のAusbildungで学童保育の仕事もできるよう、ちゃんとプログラムされているはずだ。私はとりあえず、同僚の言葉を信じて今出来ることに専念することに決めた。

そもそも個人的に年齢的な問題で、追加で2年学生をするのは、よっぽどのメリットがなければ出来ないと思っていたので、少し自分を納得させることが出来てよかった。

 

 

それと理由の3つには入れなったのだが、保育士という職業の下に見られる感、それなのにこのAusbildungが本当に大変だというコンプレックスも実はあった。

ドイツ人にとって【保育士=典型的な給料の悪い職業の一つ】というのが常識な中、

「子どもと遊んでるだけでしょ?」とか「早く帰れて楽だよね~。」とか言われたりすることもあるけど、実際そんなに簡単じゃない。保育士になるために、こんなにたくさん勉強して、実習先で経験を積まないといけないとは、私も侮っていたと正直に言おう。

 

大学院に通っている友達に「なんか聞いてる限り、大学生より全然キツイね。」と言われるほどハードなのに、なぜ大卒よりも学歴が下ということになってしまうのか。

これは、多くの人が声を上げたかいあって、最近ドイツは保育士のAusbildungを修了し、国家試験に合格した者には、学士同等の学歴を授与するということになった。

つまり、保育士の試験に受かれば、大学を出たと同じ扱いになるということ。これは嬉しい。

ドイツもこれからどんどん変えていくだろう。

 

それでも、私がもっと若かったら、もっとドイツ語が上手だったら、もっとソーシャルワーカーの大学が通いやすいところにあったら、どんな選択をしていたのだろう。と考えてしまう。

 

#ドイツ #学童教諭 #保育士 #Erzieher #Ausbildung #Sozialarbeiter #Studium #学歴 #資格 #悩み #選択

コメント