今、ドイツで学童教諭が足りない!2026年からの『小学校の終日保育の法的権利』段階的導入に伴い、需要が供給に追い付かない!

ドイツの学童保育

私のブログを読んでくださっている方はご存じの通り、私はドイツで学童教諭になるべく保育士(Erzieher/in)のAusbildungをしている。そして私はこのブログを通して、ドイツの学童教諭という仕事について多くの人に伝えたいと思っている。

 

ドイツ政府は2026年から段階的に、希望すればすべての小学生が学童保育に入れるようにすることを決めている。これから学童教諭が大量に必要とされるということだ。

ただ、現状を見ている限り、人員育成について疑問を感じざるを得ない。2026年まであと3年弱しかないのに、今現在その仕事に就くために準備している人があまりにも少ないのだ。

それを象徴するかのように、私のAusbildungのクラスメイト30人中、実習先が学童保育なのは私ただ一人。背景としては、学童保育の少なさと保育士資格で学童教諭として働けることの認知度が低い、この2つだろう。

学校の先生に言われた。『カピバラさんの職種は、これから半端じゃなく需要が増える。失業なんて絶対ないだろうし、本当に貴重な戦力だよ。』

 

小学校の終日保育の法的権利、段階的導入について詳しく教えて!

数年前から、ドイツでは両親の早期仕事復帰を支援するため、希望すれば赤ちゃんや幼児は絶対に保育園や幼稚園に入れる制度を整えた。それに伴い保育士の需要は爆上がりしたのだが、その後新たな問題が浮上⇒子どもが小学校に入学すると学校が12時頃に終わってしまい、家族は子どもの午後の保育に頭を悩ませることになる。

そこで2026年から小学校の終日保育を受ける法的権利導入により、希望すれば一日最低8時間は子どもを小学校に預けることができる権利をもつようになる。(授業+学童保育=8時間)そして今、学童保育の増席にともない、学童教諭の需要が爆上がり寸前といったところだ。

終日保育の内容

  • 平日:授業時間を含め、最低8時間は終日保育を受けさせる権利がある。
  • 休暇期間中:教育施設は一年のうち4週間は休み、その他は休暇学童を行う。

終日保育というのは、学童保育(Nachmittagbetreuung)や放課後ケアスクール(Hort)のこと。

一番準備が急がれるのは、バイエルン州とここBW州

人員補充のためには熟練労働者の採用を促進し、この職業の魅力をさらに高めるために多大な努力を払う必要があると考えられている。

バイエルン州の現状

バイエルン州では、すでにいくつかの対策が実施されているそうだ。たとえば、mittlerem Schulabschlussを持っている人のAusbildungは、2021/22年から1年短縮され4年から3年になった。そしてPIA-Ausbildungは実践的かつ効率的なAusbildungとして、すでに標準的なオファーとなっている。

2019年にバイエルン州では、特に小学生の世話をする主力教諭を養成するためのAusbildungを実験的に開始。2021/2022学年度からすでに12か所で提供されている。

施設の面では、学校の建物を二重に使用することで、追加のスペースの必要性と建物の土地の不足の解決を図っている。

こう聞くと、やっぱりバイエルン州は仕事が早いなぁと思う。必要に応じた策をいち早く練り、すぐさま実行する。さすがいつも一歩先を行くバイエルン州だ。

 

バーデン・ビュルテンベルク州の現状

ドイツ青年研究所(DJI)の統計によると、バーデン・ヴュルテンベルク州は、他の州と比較して拡大の必要性が最も高い。2019年には小学校に約83,000の終日保育の席があったが、今回の措置において、さらに207,000の席が追加で必要になるとのこと。

そして人員不足も厳しい。2011年以来、保育士のAusbildungplatzはすでに2倍になっているにも関わらず、保育士不足はなかなか改善されない。

やはり保育士について『大変で責任のある仕事の割に給料が安い』というイメージが先立ってしまうのだろう。ただ私個人の意見を言わせてもらうと、保育園や幼稚園の仕事はハードだけど、学童保育の仕事はそこまでじゃないので、不満を爆発させるほど割に合わないとは思わない。

バーデン・ビュルテンベルク州は、この職種をいかに魅力的にさせるか検討するとのこと。(給料アップか?!)

小学生の終日保育の重要性とこれから

 

学童教諭がこれからいかに必要とされるか、現状とともに解説してみた。

保育士が足りていないのはよく知られている問題だが、実は学童教諭はもっと足りていないのだ。

学童保育は、子どもによっては学校よりも多くの時間を過ごす子もいる。社会的に恵まれない子供の社会参加の機会にもなる。それにコロナ禍で浮き彫りになった、午後の育児の選択肢の重要性。私自身も肌で感じた、家族からのサポートがある子どもとない子どもの学力・成長の格差。

ドイツ政府が学童保育を充実させようとしているのは、実に評価できると思う。とりわけドイツ政府の、若い世代に投資する姿勢は素晴らしいと思う。

2026年まであと3年弱。ここからどうやって体制を整えていくのか、教育先進国の行方に私自身も内側から目が離せない。

 

参考文献:

Rechtsanspruch auf Ganztagsbetreuung ab 2026 beschlossen
Nach dem Bundestag hat nun auch der Bundesrat einem Kompromissvorschlag des Vermittlungsausschusses zum Ganztagsförderungsgesetz zugestimmt. Damit wird ab 2026 ...
Rechtsanspruch auf Ganztagsbetreuung in der Grundschule – ist das zu schaffen?
Der Rechtsanspruch auf Ganztagsschule in der Primarstufe kommt ab dem Schuljahr 2026/27. KMK verabschiedet im Oktober 2023 Qualtiätsrahmen.
Ganztagsausbau für Grundschulen
Das Bundeskabinett hat nun einen Rechtsanspruch auf Ganztagsbetreuung für Kinder im Grundschulalter ab 2026 beschlossen.

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